Magnific、38ページの画像・動画プロンプト新マニュアルを公開:いまの先端モデルでは従来の書き方が効かない
- 多くの人はいまだに「8K、超高精細、傑作」系の語を積み上げています。Magnific の38ページ無料マニュアルは、いまのモデル群にはもう効かないどころか、画像をスロップ寄りにすると指摘します。
- マニュアルの核心はこうです。スロップはモデルのデフォルトです。枠の位置、どの瞬間を切るか、光——埋めない穴はすべて、いちばん平均的な答えで埋まります。
- どのプロンプトにも貼れる文が2つ。「シネマティック感」の1行と「肌のリアル感」の1ブロック。さらに禁止ワード7つ。ultra sharp、hyper detailed、8K clarity などは AI感を呼ぶ合図です。
- 画面に出す文字は引用符で原文どおり。レイアウトはデザイナーへの指示と同じ粒度で。モデルは文字を「打つ」のではなく「置く」。
- いちばん直感に反する手法:最強の動画編集は動画モデルの中にありません。1コマ目を切り出して画像として直し、先頭フレームに戻し、元映像を動きの参照にする。同じカット・同じカメラワークで、指定した箇所だけが変わります。
- 動画エンジンの厳格なルールは8つ。画外に出たら消える、カット横断で追える役は最大3、鏡は正面ではなく回り込んで撮る。迷信に聞こえる、とマニュアル自身も書きますが、いずれもレンダ破綻のあとに残った教訓です。
このマニュアルが扱う3領域——画像・動画・映画級カメラワーク
Magnific は38ページの無料プロンプトマニュアル『The Prompting Handbook』を公開しました。画像生成だけでなく、AI 動画生成と映画級のカメラ制御まで一通りカバーしています。核にある考えはこうです。AI はすでに推論(Reasoning)を交え監督と対話する時代に入った。過去の効かないキーワードを捨て、はっきりした専門的な視覚言語で AI を指揮する。
現場ではこうなります。かつての「8K、超高精細、傑作、極限のディテール」はもう効かないどころか、画像をスロップ寄りにします。代わりにやるべきは、普通の言葉で完結したシーンを描くこと。監督が撮影班に指示を出すように、発注者がデザイナーに仕事を渡すように、被写体・動作・光・構図・スタイルを一つずつ明示します。いまのモデルは文を読みます。具体であるほど、モデルが勝手に埋める余地は小さくなります。
Magnific はもともと Javi López と Emilio Nicolás という2人のスペイン人が2023年末に作った AI 画像アップスケールツールです。資金調達も広告もなしに、公開5か月で登録72.5万件。2024年5月にストックフォト会社 Freepik に買収され、2026年4月28日、Freepik は社名そのものを Magnific に変えました。モデルは自前では訓練せず、各社モデルを接続して用途別に選ばせます。だからマニュアルのモデル一覧は、サイト内で使えるものそのものです。執筆は社内40人超の Magnific Studios。日常、このモデル群で映像制作会社やファッションブランド向けの本番案件を回しています。
38ページの内容
- 画像モデル7種の得意分野と仕事の振り方
- 画像プロンプトで押さえる6項目
- 画面内テキストを崩さない書き方
- マスクも再生成も要らない、一文での修正
- 同一キャラを何十枚でも揃える
- 検証済みの視覚語彙と、AI感の消し方
- omni アーキテクチャ:映像と音声を一度に生成
- 動画モデル4種の役割分担
- 動画プロンプトの8段構造
- 先頭フレーム・末フレーム・参照画像の役割
- 1コマ目を切り出して直す編集パイプライン
- 静止画1枚からシーン全体のカメラカバレッジへ
- 複数カットのつなぎ:5種の継ぎ目
- エンジンの厳格なルール8条(いずれもレンダ破綻から)
- カメラワーク12種のプロンプト書き方
- 台詞、口形、ビートに合わせた時間設計
- オーディション映像で演技を固定する
- 付録:壁に貼れる早見表1枚
読み終えたあとに残る要点
どのプロンプトにも貼れる文が2つ。「シネマティック感」の1行と「肌のリアル感」の1ブロック。絶対に書かない禁止ワード7つと、常備のネガティブプロンプト一式も。
仕事別に振るモデル対照表。画像7+動画4。1モデル万能主義から抜けられます。
書き方テンプレート2つ。画像6段・動画8段。埋めていけば漏れにくい。
動画修正のパイプライン1本。1コマ目を画像として直して戻す。同じカットで、指定箇所だけが変わります。
エンジンのルール8条。画外に出たら消える、追える役は最大3、鏡の正面撮りは避ける。レンダ崩壊の落とし穴を減らせます。
38ページには実プロンプト原文が20本以上あり、それぞれ生成結果の図が付きます。失敗例は失敗した見た目のまま示されます。以下はマニュアルの順に整理します。英語プロンプトはすべて原文のまま——モデルが読む文なので、訳すと効きません。
画像モデル7種は役割が違う:モデルを誤ると、文が良くても救えない
これらは互いに差し替えられません。それぞれ別の仕事のために作られています。モデル選定は文の巧拙と同じくらい重要です。だから選定表は第1章の最初のページに置かれ、どの書き方よりも前に来ます。
| モデル | 最も得意 | 最高解像度 |
|---|---|---|
| Nano Banana ProGoogle · Gemini 3 Pro Image | シネマティック感・美学重視の仕事、最難関プロンプト、メインビジュアル | 4K |
| Nano Banana 2Google · Gemini 3.1 Flash Image | 修正、製品・ブランド、大量イテレーション | 4K |
| Seedream 5.0ByteDance | ポスター、パッケージ、EC、スタイル統一の大量生成(参照最大10枚) | 4K |
| GPT Image 2OpenAI | 複雑なレイアウト、インフォグラフィック、文字精度が要る図 | 4K |
| Recraft V4.1Recraft | Logo、アイコン、ベクター素材、ブランドデザインシステム一式 | SVG · 2K |
| Flux.2Black Forest Labs | ブランド色を色番号まで、プロンプトを絵コンテ一覧に(参照最大10枚) | 2K |
| Krea 2Krea | スタイル参照とムードボードから質感を作る | 2K |
2つの Nano Banana の使い分け
Nano Banana 2 は2026年2月の新モデルで、日常の大半はこれで足ります。品質は Pro に近く、はるかに速く、文字が安定し、複数参照間の一貫性も最も強い。修正・製品・ブランドの既定選択はこれです。Nano Banana Pro は2025年11月世代の上位オプション。精密さ、ブランド級の再現、最難関プロンプトの磨き込みが必要なときに使います。遅いが上限は高い。
この2モデルは1枚あたりの価格が同じです。だから性格で振り、価格では振りません。価格が同じなので「節約」という変数が消え、残る問いだけになります。この1枚は速さが要るのか、精度が要るのか。
他のモデルにも癖があります。Flux.2 は「制御」用:参照を一度に10枚、指定の16進カラー、構造化された絵コンテ一覧に追従でき、最初から最後までロックするブランド/製品ラインに向きます。曖昧なプロンプトを渡すと、綺麗だが平凡な図が返ってきます。Krea 2 は対極で「スタイル」用:参照とムードボードから入り、既定の AI レタッチ感を避けます。代償は、指示より意図の解釈を優先し、画面内テキストが弱い点です。Recraft が一覧に入る理由は、組版依存の高いポスターと美術学校級のイラストに強く、この一覧で唯一、本物のベクターを書き出せるからです。
画像プロンプトで押さえる6項目:被写体、動作、場面、光、構図、スタイル
いまの画像モデルはキーワードの山ではなく、文を読みます。一貫したシーンを描けば、それに沿って組みます。Nano Banana Pro と 2、GPT Image 2、Seedream など推論するモデルは、情報の多いプロンプトをまず段に分けて読んでからレンダします。被写体やディテールが多くても持ちこたえます。
構造は6段。下図は実際の香水広告プロンプトを分解し、各段が画面のどこを担うかを示します。
6段をつなげば完全なプロンプトになり、下の図が得られます。瓶は右寄り、飛沫は隣で小さな王冠、硬いサイド光が濡れた石板をなでる。画面のすべてがプロンプトで先に名指しされており、モデルの独断は一箇所もありません。
同じ骨格を別方向に振ると、別の仕事になります。左はプロンプトをレイアウト・ブリーフとして書く:コピー、各要素の位置、余白。右はシネマティック感で、「どう見えるか」を表す語で印象づけます。
35mm film still: a woman in a red coat dashes across a rain-wet crossing at dusk, mid-stride with motion blur, a bus streaking past behind, sodium streetlight and shop-window glow, muted Kodak palette, natural grain, subject on the left third, full frame edge to edge, no letterboxing, no black bars.
シーンを書き、ラベルを書かない。被写体、何をしているか、どこで、どんな光、どう枠取るか、どんなスタイル——これで足ります。「8K」「傑作」系の盛り上げ語は全部飛ばします。
画面に出す文字は引用符で。表示どおりの語を引用符に入れ、位置も明示(「見出しは上部中央」)。製品パッケージのコピーも一字一句そのまま。そうしないとモデルが勝手に作ります。
試しは安く、仕上げは高精度で。1K で何度も探り、採用した1枚だけを 2K〜4K で再実行します。
本物の製品がいちばん難しい試験。素材、テクスチャ、ラベルの書体がレンダで生き残らねばなりません。画像側は Nano Banana 2、動画側は Seedance 2.5 が最も強い。納品前にラベルを拡大して必ず確認してください。
