研究解説 · 小互解説

Claude Mythos、暗号の数学的脆弱性を発見——一流研究者並みの解析を実現

いずれの結果も、現在使われているシステムには影響しません。HAWK はまだ候補方式であり、攻撃対象の AES も研究者が意図的に弱めた版です。
1分で概要
  • Anthropic の Frontier Red Team は Claude Mythos Preview を使い、2つの暗号アルゴリズムに内在する数学的弱点を発見しました。従来の AI が見つけていたのは、プログラマーの実装ミスによる実装脆弱性です。今回は誰がコードを書いても変わらない、アルゴリズムの数学的論理そのものにあるアルゴリズム脆弱性です。
  • 1つ目の標的は HAWK。米国 NIST のポスト量子署名コンペに参加し、すでに2回の専門家審査を通過した候補方式です。攻撃に必要な探索規模は 940 から 513 へ、ほぼ半分になりました。最小パラメータでは実際に秘密鍵を復元し、96 コアのサーバー1台で数時間でした。
  • 2つ目は AES の7ラウンド縮小版です。実用版は10ラウンドです。Claude は AES の設計文書に明記された公開情報、すなわち Sボックスが数式から生成され、規則性を持つことを利用しました。これにより、2013 年以来の最良攻撃を 200~800 倍高速化しました。
  • 現在利用中の製品やサービスには一切影響しません。HAWK はまだ候補で、採用製品はありません。7ラウンド AES は研究者が意図的に弱めた標的であり、完全な10ラウンド AES は無傷です。
  • AES の成果はほぼ完全に自律的に得られました。3日間でモデルが数億トークンを出力し、人間が与えた実質的な指示は計3件だけです。モデルが1週間で攻撃を見つけた一方、2人の研究者が正しさに確信を持つまでには1カ月近くかかりました。
⚑ 情報源は Anthropic 自身が公開した研究ブログと付随する2本の論文です。自社モデルの成果を自社が説明しているため、所要時間、コスト、能力に関する記述は Anthropic 側の見解です。一方、2つの攻撃には技術論文と実行可能なコードが公開され、外部検証が可能です。
何が起きたのか

Anthropic、Claudeでアルゴリズム自体の脆弱性を発見

Anthropic の Frontier Red Team(自社モデルの危険な能力を研究するチーム)は 7 月 28 日、Claude Mythos Preview による暗号研究の成果を公表しました。

要するに、従来のAIが発見できていたのは、プログラム記述ミスによる初歩的な脆弱性でした。今回 Claude は一流の数学者や暗号研究者のように、暗号アルゴリズムの数学的論理に内在する脆弱性を直接発見しました

従来の対象
実装脆弱性

アルゴリズム自体は正しく、コード化する際にプログラマーが誤ったものです。OpenSSL や wolfSSL の脆弱性もこの類型です。パッチで修正できます。

今回の対象
アルゴリズム脆弱性

数学的設計そのものに存在する弱点で、誰が実装しても変わりません。設計を変更するか、別のアルゴリズムへ置き換える必要があります。

成果

2つの主要成果——Claudeは何を破ったか

暗号システムには大きく2つの役割があります。Web ページを開くと、まずブラウザは相手が本物のサイトかを確認します。本物の所有者だけが作れる署名を検証するのです。本人確認が終わると、双方は同じ鍵を使って通信内容を暗号化します。前者がデジタル署名、後者が共通鍵暗号です。

第1段階:本人確認
サイトが署名を提示し、ブラウザが真正性を検証
HAWK が狙う役割
第2段階:鍵交換
双方だけが知る鍵を合意
第3段階:暗号通信
合意した鍵で通信内容を暗号化

Web サイトへアクセスした際の暗号処理の役割分担。今回の2つの成果は両端に対応します。中央の「鍵交換」は別種のアルゴリズムであり、今回は攻撃対象ではありません。(本サイト作成の模式図)

成果1 · ポスト量子署名 HAWK への攻撃

背景。将来の量子コンピューターによる現行暗号の解読に備え、米国国立標準技術研究所(NIST)は次世代の「耐量子」アルゴリズムを選定しています。現在インターネットで使われる署名アルゴリズム(RSA、ECDSA など)の安全性は、「巨大な数を2つの素数へ分解するのは難しい」といった問題に依存します。ところが、これらは十分な量子コンピューターが実現すれば効率的に解ける問題です。

NIST は 2016 年にポスト量子暗号の標準化を始め、10年近く選定を続けています。HAWK が参加するのは、署名方式を募集するため 2022 年に追加されたコンペです。世界の専門家による2年間、2ラウンドの審査を通過し、第3ラウンドへ進んだ唯一の「格子」ベース候補です。

格子とは何か、HAWK はどう安全性を確保するのか

非常に高次元の空間に、塩の結晶のように規則正しく並んだ点が、果てしなく広がっていると想像してください。ただし次元は数百から数千にもなります。

同じ点の集まりは、「良い座標」(互いにほぼ直交し、短くて扱いやすいもの)でも、「歪んだ座標」(強く傾き、長すぎて扱いにくいもの)でも表現できます。歪んだ座標から良い座標を復元するのは極めて困難です。次元が増えるほど難しくなり、計算量は指数関数的に増えます。

HAWK の秘密鍵はこの「良い座標」、公開鍵はそこから計算した行列です。HAWK の解読とは、公開鍵から利用可能な「良い座標」を何らかの形で逆算することです。

従来の最良攻撃は、歪んだ座標を少しずつ矯正するものでした。HAWK には鍵の小さい順に HAWK-256、HAWK-512、HAWK-1024 の3パラメータがあります。設計者はこの攻撃を前提に、必要な探索規模をそれぞれ 211、452、940 と見積もりました。探索規模が少し増えるだけで、1回の探索コストは指数関数的に増えます。

Claude の成果。約 60 時間で、このアルゴリズムに存在しながら従来は利用されていなかった対称性数学では自己同型(automorphism)と呼びます。特定の変換を施しても、構造全体が元と同じに見える性質です。正方形を 90 度回転するようなものです。を見つけ、新しい攻撃を構築しました。

既知の定理に欠けていた前提

先行研究では、HAWK が使う点集合から特定の対称性を効率よく発見できれば、それを攻撃に利用できることがすでに証明されていました。

この定理は van Gent と Pulles が 2025 年に示したものです。しかし、HAWK の点集合に実際に発見可能な対称性があるのかという次の問いには答えられませんでした。定理の前提が宙に浮き、誰も検証できなかったのです。

Claude はまさにその対称性を見つけ、欠けていた前提を満たしました。

先行研究は、この種の解析で常に同じ対称性だけを使っていました。Claude は従来使われていなかった別の対称性を選び、論文では τ と表記しています。この τ を使うと、公開鍵だけから新しい点集合を構成できます。その中で最短のベクトルが秘密鍵につながります。元の点集合よりはるかに小さく、形も規則的です。Ducas が 2023 年に公開し、2024 年に正式発表したアルゴリズムは、まさにこの形に適しています。

1公開鍵だけで新しい点集合を構成

攻撃者が持つのは公開鍵だけです。τ の対称性から2つの制約式を作ります。式の係数はすべて公開鍵から直接計算でき、秘密鍵は不要です。この2条件を満たす整数解が、新たな点集合を形成します。

重要なのは、この集合で最短のベクトルが秘密鍵につながることです。しかも元の集合より簡単に見つけられます。この段階は高速で、一般的な PC でも計算でき、計算資源の壁はありません。

使用手法:Claude が考案した新構成(論文第 4 節)
2最短ベクトル群を抽出

新しい点集合は非常に規則的です。論文は、全体の縮尺を除けば「準超立方体」と呼ばれる標準形と同一であることを証明しています。

形が分かれば Ducas のアルゴリズムを使えます。これも座標を矯正する手法ですが、まとまりごとに処理するため、この規則的な形に特に有効です。従来は探索規模 940 が必要でしたが、今度は 513 で済みます。「労力が半分」の根拠です。

使用手法:Ducas のブロック簡約アルゴリズム(2023 年プレプリント、2024 年正式発表)
3最短ベクトルから秘密鍵を復元

第2段階では複数の候補が得られます。そのうち秘密鍵へ本当につながるのは、正負一対の2本だけです。論文では、どの2本かを判定できるパリティ検査を示しています。

候補を得た後、van Gent と Pulles の 2025 年の降下法を使い、同様の探索をもう一度実行します。これで正規の所有者を装って署名できる、等価な秘密鍵が得られます。

使用手法:van Gent–Pulles 2025 の降下法(既存の公開手法)

HAWK 攻撃の3段階。3つの道具のうち2つは既存の公開手法で、欠けていたのは両者を結ぶ構成でした。(論文第 4~6 節を基に本サイトが整理)

HAWK-1024 · 攻撃に必要な探索規模 940 設計者が既知の最良攻撃から算出 513 新攻撃で必要な規模 約半分に削減

規模が少し増えるだけで、コストは何度も倍増します。この半分を削った結果、攻撃全体のコストは 2 の 288 乗から 2 の 182 乗へ低下しました。

パラメータ従来の探索規模攻撃後の探索規模従来コスト攻撃後コスト
HAWK-256211129 262238
HAWK-512452257 2132275
HAWK-1024940513 22742150

論文 Table 1。Core-SVP に基づく計算で、コストの単位は「おおよその計算ステップ数」です。より詳細なゲート回路基準では、3パラメータはそれぞれ 274→252、2141→286、2278→2158 です。注意点は2つあります。Core-SVP の値は論文著者が数式で換算したもので、HAWK 仕様自体が示すのは探索規模とゲート数だけです。また HAWK-256 はチャレンジ用パラメータで、仕様にゲート数がなく、274 も著者の計算値です。

上表は「1回の探索にかかる労力」です。攻撃全体では複数回の探索に加え、候補の検査や秘密鍵までの段階的な降下が必要なため、総コストはさらに大きくなります。HAWK 仕様が示す鍵復元の総コストは、512 が 2 の 150 乗、1024 が 2 の 288 乗です。新攻撃では、それぞれ最大 2 の 108 乗と最大 2 の 182 乗まで下がります。

最も強い証拠は、HAWK-256 を実際に最後まで走らせたことです。公式リファレンス実装で生成した2つの公開鍵から、いずれも秘密鍵の復元に成功しました。96 コアの Sapphire Rapids サーバー1台で数時間です。復元した鍵は公式実装による署名・検証テストを通過しました。

2 / 2
公式実装で生成した2つの公開鍵から、秘密鍵をすべて復元
96 コア
Sapphire Rapids サーバー1台で数時間
全件合格
復元鍵が公式実装の署名・検証テストに合格

うち1つの公開鍵は2回実行し、異なる2つの秘密鍵が得られましたが、どちらもなりすまし署名に使えました。これは失敗ではありません。先述の通り、HAWK を破るには利用可能な「良い座標」をどれか1組見つければよく、元の所有者と同じ組である必要はないからです。攻撃コードは GitHub(anthropics/cryptography-research-demo、Apache 2.0 ライセンス)でオープンソース公開されています。単一コマンドのパイプラインで、最後に公式実装を使った検証まで自動実行します。

影響。完全解読ではありませんが、従来の安全水準を取り戻すには HAWK の鍵長を2倍にする必要があります。HAWK の魅力は、鍵が小さく署名が速いこと、浮動小数点演算が不要なことでした。鍵が2倍になれば、これらの利点はほぼ失われます。

影響範囲は次の4点に限られます。

Falcon には影響なし

Falcon も格子ベースの署名方式ですが、論文は付録全体を使い、この構成を Falcon へ移植できない理由を説明しています。

他の NIST ポスト量子候補には影響なし

「格子暗号全体が危険になった」とも結論づけられません。攻撃は HAWK 固有の構成を狙ったものです。

大きな一群の方式は原理的に対象外

この攻撃に必要な対称性は、特定の構成を持つ方式群にしか存在しません。別の大きな方式群にはそもそも存在せず、攻撃を始められません。論文では厳密に証明されています。

コストは依然、規模とともに指数増大

即座に計算できる種類の攻撃ではありません。大きな HAWK パラメータは今も破れず、安全余裕がほぼ半減したということです。

成果2 · 縮小版 AES への攻撃を大幅高速化

背景。AES は現在、世界で最も広く使われる中核的な共通鍵暗号標準です。インターネットバンキングやチャットの暗号化にも使われます。2001 年に標準化され、20年以上研究されてきました。

AES-128 は 128 ビットのデータに同じ処理を10回繰り返します。各ラウンドでは3つの処理を行います。

Sボックスを通す
16 バイトが、それぞれ 256 入力・256 出力の表を参照。全工程で逆向きに単純追跡できない唯一の処理
並べ替えと混合
バイト順を変え、4バイトずつ混合
ラウンド鍵を加える
可逆な XOR で、そのラウンドの鍵を混合

AES の1ラウンドを構成する3処理。この参照表は暗号分野で Sボックスと呼ばれます。以下では「Sボックス」と表記します。10回繰り返すと、入力と出力の関係は逆算できないほど複雑になります。(論文 Figure 1 を基に本サイトが作成した模式図)

安全性を評価するため、研究者は10ラウンドを7ラウンドへ減らすなど、縮小版を調べます。7ラウンド AES を実際に使うシステムはありません。縮小版にどれほど弱点が残るかを調べ、完全版の安全余裕を推定するためです。暗号研究では数十年前から行われている標準的な手法です。

中間一致攻撃 — この研究分野の基本手法

基本は、空間を使って時間を節約することです。オフライン段階で巨大な表を計算し、データが中間地点に到達した状態の全候補を保存します。高コストですが、一度だけ実行すれば済みます。

オンライン段階では、攻撃者が鍵の数バイトを推測し、その値で外側のラウンドを剥がします。中央の4ラウンドが現れたら、短い特徴量を計算して表を検索します。以下で繰り返し登場する「フィンガープリント」です。人間の指紋と同様、異なる入力が同じ値になる可能性はほぼありません。表に一致があれば推測したバイトが正しい可能性が高く、一致がなければ確実に誤りです。

元の順序
729472
指紋:7×2 · 2×2 · 9×1 · 4×1
鍵が変わり、順序が変化
274729
指紋:7×2 · 2×2 · 9×1 · 4×1
2行の並びはまったく違いますが、「各値の出現回数」は同一です。指紋は回数だけを記録し、位置を無視します。すると順序だけを変える鍵バイトは、指紋へ影響できません。(本サイト作成の模式図。実際の指紋は 256 個の値から取得)

この研究路線の出発点は、Demirci と Selçuk が 2008 年に示した発見です。AES の4ラウンドは理想的なランダム関数ではありません。

2人は次の実験を行いました。最初の1バイトだけが異なる 256 個の入力を用意し、4ラウンド後の出力の最初の1バイトを観察します。理論上、この 256 個の出力パターンは 2 の 2048 乗という天文学的な種類があります。しかし実際に現れ得るのは、ごく一部だと証明しました。中央4ラウンドの結果が 25 バイトだけで決まるからです。25 バイトは 200 ビットなので、最大でも 2 の 200 乗通りしかありません。

2 の 200 乗も天文学的な数ですが、2 の 2048 乗とは本質的に違います。前者は事前に列挙して表として保存できる規模ですが、後者は不可能です。これにより攻撃全体が成立しました。その後の研究は一貫して、表を小さくすることと、推測する鍵バイトを減らすことを目指しています。

2008
Demirci–Selçuk

4ラウンドが 25 個のパラメータバイトだけで決まると発見。全候補を 2 の 200 乗件の表として保存可能にしました。

2010
Dunkelman–Keller–Shamir

表の上側で推測が必要だった鍵バイトを1つ除き、表を 2 の 127 乗件へ圧縮。表の圧縮には差分を使いました。1つのデータだけでなく、2つのデータの差が数ラウンド後にどう変化するかを追う手法です。総当たりより初めて高速な7ラウンド AES-128 攻撃を実現し、コストは 2 の 116 乗でした。

2013
Derbez–Fouque–Jean

パラメータを 10 バイトへ削減し、差分を再調整。必要データは 2 の 105 乗件、時間は 2 の 99 乗、ストレージは 2 の 90 乗です。今回まで 13 年間、最良記録でした。

2026
Claude Mythos Preview

表の下側で推測が必要だった鍵バイトを1つ除去。データ量は 2 の 105 乗件のまま、時間を 2 の 89.3~91.4 乗へ短縮しました。

7ラウンド AES に対する中間一致攻撃の研究史。2010 年と今回の進歩は対称的です。一方は表の上側、もう一方は下側のバイトを除去しました。両者の間には 16 年あります。

Claude の成果。「メビウス橋」と呼ばれる新手法を自律的に考案し、攻撃者が行う盲目的な推測を1回減らしました

平文(攻撃者が選択)
2010 に除去
表の上側にある鍵バイト
256 個の数を並べ替えるだけ
中央4ラウンド · オフラインで事前計算した巨大表
攻撃者が指紋を計算し、ここで照合
2026 に除去
表の下側にある鍵バイト
Sボックス通過後に加わる値
暗号文(攻撃者が観測)

巨大表を挟み、その上下には攻撃者が推測すべき鍵バイトが1つずつあります。この十数年の研究は、2つのバイトを1つずつ除去する歴史でした。任意の層へマウスを置くと(スマートフォンではタップ)、ほかの2層が暗くなります。(論文第 2 節を基に本サイトが作成した模式図)

まず上側のバイトを除去しやすい理由です。役割は 256 個の数を並べ替えるだけです。そこで順序に依存せず、各値の出現回数だけを記録する指紋を作ります。並びが変わっても指紋は同じなので、そのバイトを推測する必要がありません。1バイトの推測を減らせば 256 通りの試行がなくなり、直ちに 256 倍の削減です。Dunkelman、Keller、Shamir が 2010 年に実現しました。

256 通りすべて試行不要

各マスは、この鍵バイトが取り得る 256 通りの値を表します。従来は1つずつ代入して試す必要がありました。順序に依存しない指紋を作れば、全領域に一度も触れずに済みます。攻撃量は直ちに 256 分の1です。

下側のバイトは事情が異なります。Sボックスを通過した後に加わるため、単純な並べ替えではなく、同じ手法は使えないように見えます。

しかし Sボックスは、無作為に埋めた数の集まりではありません。数式から計算されています。

Sボックスは数式で生成

AES の Sボックスは固定された数式で生成されます。入力値の数学的な「逆元」を取り、その後に固定の撹拌処理を行います。どちらも公開された決定的手順で、誰が計算しても同じ結果になります。後者は数学でアフィン変換と呼ばれます。

AES の設計者自身が『The Design of Rijndael』(2002 年刊)に記した公開情報です。こう設計した目的は2つありました。差分解読法への耐性を証明できることと、「秘密を隠していない」という証拠にすることです。表の値はすべて数式で生成され、誰でも再計算できるため、密かにバックドアを埋め込めません。

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この 64 個の値(表全体は 256 個)は、1つも恣意的に決められていません。
すべて入力の GF(2⁸) 上の逆元を取る → 固定のアフィン変換を施すことで得られます。
誰でも同じ式で再計算でき、全バイトが一致します。
Claude が捉えたのは、この規則です。

AES Sボックス先頭 64 個の実値(16進数)。ほかの暗号では Sボックスがランダムに生成されることが多く、見た目は同じように乱雑でも背後に数式がありません。その場合、今回の攻撃は成立しません。

上側のバイトは順序を変えるだけなので、順序を無視する指紋で対処できます。下側のバイトは、各値に同じ固定処理を施します。逆元を取り、固定の撹拌を行う処理です。同じ処理なら、「処理後も変わらない量」を探せばよいことになります。

例えるなら、すべての数へ一律に 10 を足しても 100 を足しても、2つの数の差は変わりません。「差」が、何を足しても変わらない量です。Claude が探したのも同種の量ですが、処理は「数を足す」代わりに、Sボックスの2段階です。

これを見つければ、未知の鍵バイトが 256 通りのどの値でも、計算される指紋は同一です。このバイトも推測不要になり、さらに 256 倍を削減できます。

手法1
メビウス橋

べき乗和の比を使い、未知量を代数的に直接消去します。論文要旨では メビウス橋と呼びます。メビウス変換は (av+b)/(cv+d) 型の分数線形変換です。

手法2
χ正規化

データを標準形へ変換し、異なる鍵バイトを同じ形へ写します。代数的な約分ではなく正規化を使うため、計算コストが低くなります。

削減した 256 倍は、指紋の計算コストでほぼ相殺されるところでした。単純な実装では、指紋1件につき約 2 の 19 乗回の表参照が必要です。推測量を 2 の 8 乗分減らしても、各件の処理が 2 の 19 乗増えれば赤字です。

削減:1バイトの推測28
追加コスト:単純な指紋計算219 回の表参照
3つの最適化後:指紋1件28.6 回の表参照

棒の長さは指数値に比例。中央の赤い棒が問題です。発想そのものは 28 を削減しますが、1件ごとに 219 の追加コストがかかり、収支はマイナスです。3つの実装最適化で1件を 28.6 まで圧縮し、約 1400 倍削減したことで初めて有利になりました。最適化は、頻出結果の事前計算、最も効率的な順序での全分岐走査、再利用可能な表参照結果のキャッシュです。

影響。必要データ量は 2 の 105 乗件のまま変わらず、時間は 2 の 99 乗から 2 の 89.3~91.4 乗へ下がりました。完全版 AES を揺るがすものではありません。それでも、最も徹底的に研究されてきたアルゴリズムで数百倍の効率化は、極めてまれな進展です。

2013 年の手法Derbez–Fouque–Jean
2 の 99 乗
今回の新手法Claude Mythos Preview
2 の 89.3 乗

棒の長さは指数値に比例。指数差は 9.7 で、倍率にすると 832 倍です。これは理論計算上の値で、同一マシンの実測は 362 倍でした。必要データ量は両手法とも 2 の 105 乗件です。

200–800×
理論上の高速化。報告書が示す値
115–362×
同一マシンでの実測。理論値より小さい
2105
必要データ量は不変。攻撃が非実用的な理由

実測は研究チーム自身が行いました。両方の攻撃を実装し、同じマシンで計測しています。公開済みの 2013 年版との比較は 362 倍、「今回の最適化を旧攻撃にも適用した」強化版との比較は 115 倍でした。差の理由は付録に記されています。計測に使ったオンライン実装には、先述した3つの最適化のうちキャッシュが未実装でした。

もう1つ重要な点があります。攻撃全体には 2 の 89 乗の時間とメモリが必要で、実際に最後まで走らせて結果を確認できません。そこで4段階の検証を積み上げました。

1定理証明器で誤検出率の上限を証明

Lean を使い、「誤った鍵の推測は指紋によって棄却される」という性質を形式化し、機械的に証明しました。

ただし著者自身が適用範囲を明記しています。この定理は完全な 256 ビット指紋を対象としますが、実際に使うのは 13 バイトの接頭辞です。したがって、2 の負 200 乗という上限は切り詰め後には適用できません。攻撃が実際に前提とする誤検出率は、実測による約 2 の負 12 乗です。

2縮小版 AES でパイプライン全体を実行

SR(7,2,2,6) という小型 AES を使いました。本物の AES と構造は同じですが、4×4 の 8 ビットバイトを 2×2 の 6 ビットセルへ縮小し、ブロックと鍵は 24 ビットです。パラメータ空間を完全列挙できる最小サイズです。

8個のランダム鍵をすべて復元しました。同じ実験で、旧手法は1構造当たり 2 の 29 乗回、新手法は 2 の 23 乗回の表参照を必要としました。予測通り 64 倍の差です。

3実 AES で実行、ただし2カ所に近道

本物の AES-128、本物の7ラウンドで、ラウンド鍵の生成も実物通りです。ただし2カ所だけ近道を使いました。巨大表全体を事前構築せず、正解の1件だけを生成すること。鍵の情報を使って「正しい平文」の組を直接指定することです。正直に収集すれば、その組を得るのに 2 の 105 乗件の平文が必要です。

この2つの近道が論理的な問題を隠さない理由は、論文で個別に論証されています。新たに生成した 50 個のランダム鍵すべてで主鍵を復元し、試験暗号化で確認しました。166 万回の表参照で誤検出はゼロでした。誤った鍵を正しいと判定した事例はありません。

4両攻撃を実装して実時間を計測

論文では複雑度をすべて「表参照回数」で数え、AES 暗号化1回を表参照 160 回と換算します。これは計算上の約束であり、プロセッサーの実処理とは一致しない場合があります。

そこで2つの単位処理を実測しました。表参照1回は約 1.6 クロックサイクルで、計算上は 1 サイクルを暗黙に想定しています。クロック換算では実コストが論文値より約 1.6 倍高くなります。これが「実測の高速化が理論値より小さい」理由です。

完全版 AES に対する現在の最良攻撃(biclique)でさえ、鍵を1つずつ試す方法より約 4 倍速いだけです。暗号研究では「2ビット高速」と表現します。この規模では、4倍は事実上ほとんど差がありません。AES の設計から30年近く、完全版は揺らいでいません。今回の攻撃も、ほかの類似ブロック暗号には適用できません。

その後も続く成果

2つの成果を得た後、研究範囲を広げ、論文発表前の結果をさらに複数得ました。

LEA · 13 ラウンド(完全版 24 ラウンド)

低消費電力デバイス向けの軽量暗号で、ISO/IEC 29192-2:2019 国際標準に採用されています。

従来の13ラウンド最良解析には、2 の 98 乗組の平文ペアと 2 の 86 乗の計算量が必要でした。Claude の攻撃は 2 の 30 乗件未満の暗号化済み平文を使い、最新のデスクトップ PC 1台で1時間以内に13ラウンドの鍵を復元します。

この結果は AES の攻撃より確認しやすく、エンドツーエンドで実行できます。ランダム鍵を生成し、数時間後に実際の復元を確認できます。未解決なのは、必要な平文ペア数の厳密な上限、一部の鍵が復元しにくい理由、14ラウンドへの拡張方法の3点です。

Serpent-128 · 6 ラウンド(完全版 32 ラウンド)

Claude は完全な鍵復元攻撃を構築しました。従来の公開済み最良結果には、2 の 70 乗組を超える平文ペアと 2 の 90 乗回の復号が必要でした。新攻撃の具体的なコストは報告されておらず、まだ論文化されていないとだけ記されています。

Salsa20、Poseidon ハッシュ、SHA-1

改善はありましたが、10 倍未満です。現時点では強い成果とは言えず、今後さらに改善できるかも分かっていません。

心配すべきか

一般利用者への影響は

結論から言えば、心配は不要です。現実の生活に実害はありません。

1HAWK はまだ「候補」

実際の本番システムやネットワーク製品には一切導入されていません。NIST のコンペは、標準化前に問題のある方式を排除するために行われています。

2AES は今も堅牢

Claude が攻撃したのは7ラウンドの縮小版 AES です。現実に使う完全版は10ラウンドで、無傷です。さらにこの攻撃では、同じ鍵で攻撃者が選んだメッセージを 2 の 105 乗件暗号化させる必要があります。これは約 4 の後ろに 0 が 31 個続く数で、実現できる現実のシステムはありません。Anthropic 自身も「完全に非実用的」と評価しています。

12345678910
今回の攻撃範囲(第 1~7 ラウンド)実用 AES に残る3ラウンド。完全に無傷
3暗号研究の正常なプロセス

アルゴリズムを実用化する前に、最強の手段で徹底的に攻撃・検証し、より安全な防御を作ります。今回の2成果は、このプロセスが機能している証拠です。問題は標準化後ではなく、標準化前に見つかりました。

プロセス

AIはどう実現したか——60時間・指示3件・10万ドル

HAWK:複数エージェントが分担、棄却した発想を別が救う

Anthropic の研究者1人が Claude と1週間取り組みました。研究者は理論計算機科学の経験を持ちますが、格子暗号の専門家ではありません。

Claude Code に似たフレームワークを使用し、複数のワーカー(並行動作する複数のClaudeインスタンス)がサンドボックス内で協働しました。Python コードを書き、Sage のような数学ソフトウェアを使い、公開済みの暗号文献も読めます。ほとんどの時間は worker が自律的に動き、人間の入力はアイデアの記録方法や検証用ライブラリの提案など、プロジェクト管理に限られました。

重要な発想は、興味深いことに2つのワーカーの共同作業から生まれました。2つとも同じ方向を調べ始め、1つ目は不可能と判断して早期に棄却しました。2つ目は、それを完全に利用する方法を発見しました。メッセージを往復した後、両者とも有効な攻撃だと合意しました。

発見、開発、検証には計約 60 時間かかりました。

AES:ほぼ完全自律、Claude は当初拒否

AES の攻撃は、ほぼ完全に自律的に作られました。研究者が実験環境を用意し、Claude 自身が仮説を立て、実験で検証または棄却し、攻撃を設計しました。

最初はうまくいきませんでした。Claude は、AES の暗号解析を改善すること自体が不可能だと考え、作業を拒否しました。報告書は当時の2つの発言を公開しています。

Claude の当時の回答
If you want a different outcome, the target has to change … AES-128 r5/r6 is just genuinely hard
違う結果を望むなら、対象を変えるしかありません……AES-128 の5、6ラウンドは本当に難しいのです。
Claude の当時の回答
on AES-128 r5/r6/r7 it found nothing because there's nothing easy to find; this is the most-studied block cipher in existence.
AES-128 の5、6、7ラウンドで何も見つからないのは、簡単に見つかるものがないからです。これは現存する中で最も研究されたブロック暗号です。

研究者は1件のメッセージを送りました。報告書は誤字や文法ミスも原文通り残しています。以下の [sic] は「原文のまま」を意味し、転記ミスではありません。

研究者のメッセージ
the models tend to think it is impossible to solve so they don't try they [sic] need a good amount of prompting.
モデルは解決不能だと思い込み、試そうともしない傾向があります。かなり強く促す必要があります。

このメッセージを受け取った Claude は、エージェント基盤全体を自ら書き直し、本当に新しいアイデアを探すよう変更しました。これが効き、6ラウンド AES で新しい成果が出始めました。

研究者は続いて、why not do aes-128 r7? the whole point is to find something better than existing approaches.(なぜ7ラウンドをやらないのですか。この取り組みの目的は、既存手法より優れたものを見つけることです。)と尋ねました。

その後の3日間、Claude は自律的に数億トークンを出力しました。人間が与えた実質的な指示は計3件だけです。

3つの指示 · 原文
1. no again the goal is that we have highly inteligent [sic] model as good top researcher, we want to find new attacks

2. no we don't want to change the targets [...] agian [sic] we need to find something that worth [sic] publishing

3. again we are not looking for low hanging fruit, we want proper research to find genuinly [sic] hard findings.
1件目は数時間後、Claude がまだ簡単な攻撃を探していたため送られました。2件目は翌朝、別の暗号へ対象を変えようとしたためです。3件目は同日夜に送られました。訳:①違います。目標は一流研究者と同等に賢いモデルを使い、新しい攻撃を見つけることです ②違います。対象は変えません……繰り返しますが、発表に値する成果が必要です ③もう一度言います。簡単な成果を探しているのではありません。本当に難しい発見を生む、正真正銘の研究が必要です

3日後、メビウス橋 が生まれました。さらに数日後、累計出力が 10 億 token に達した時点で、攻撃は論文に掲載された形へ洗練されました。

60 時間
HAWK の発見から検証完了まで
10 億
AES の成果で累計消費したモデル出力 token
約 10 万ドル
成果1件当たりの API コスト

Anthropic は、Claude が中核アイデアを発見したセッションの思考過程も公開しました。業界で思考連鎖と呼ばれるもので、公開版は読みやすいよう詳細を補って再構成されています。Claude は先行する複数の Agent の発見を振り返り、さまざまな批判を読み、新しい変換を次々に提案しました。いくつかを自ら棄却した後、メビウス変換を思いつきます。続いて数学面と計算面の両方から検証し、後続 Agent が作業を続けられるよう報告書にまとめました。

これは多数の自律セッションの1つにすぎず、何も見つからなかったセッションも数多くあります

続きもあります。HAWK の成果を確認した後、研究チームは興味から、AES 攻撃用のフレームワークを HAWK にも投入しました。フレームワークは答えを知らない状態で、同じ攻撃を独立に再発見しました。

意味

本質的価値 — 実装ミスの発見から、一流数学者の設計を覆す段階へ

暗号分野における AI の能力は、「プログラマーがコードを誤って書いたかの検査」から、「一流数学者が設計したアルゴリズムの論理を覆すこと」へ進みました。これこそ今回の成果の重みです。

人間の研究者が検証で詰まり始める

HAWK の攻撃はエンドツーエンドで実行できるため、検証は容易です。実行して鍵が得られるか確認すれば済みます。AES の攻撃は実行できません。

モデルが AES 攻撃を発見1週間(数十時間)
2人の研究者が正しさを検証約1カ月(数百時間)

報告書の表現は「1週間」と「約1カ月」。論文では、モデルが中核アイデアを生むまで数十時間、著者が確信を持つまでの検証に数百時間としています。

Anthropic はすでに自らの知識の限界へ近づき、ここ数カ月の大半を Claude の成果検証に費やしています。サイバーセキュリティ分野で起きているのと同じ現象です。モデルが見つける bug が多すぎて、人間のプロセス — 分類、検証、修正 — が追いつきません。今後の暗号研究では、AI の成果が爆発的に増える一方、人間の査読者が不足する可能性があります。

この新しい状況では、人間の主な仕事は言語モデルの出力を検証することになります。居心地のよい状況ではありません。

AES 論文第 1 節

解決策として提案しているのは、暗号攻撃の技術を形式化し、実際に最後まで走らせなくても攻撃の正しさを自動検証できるようにすることです。論文の試算では、当時この自動検証が使えれば、論文を1桁短い期間で完成できたとしています。

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数学界にも同じボトルネックがあります。証明を生む速度と、証明を理解・検証する速度は別物です。

オープンなベンチマークも開発

「言語モデルは暗号解析をどこまで行えるか」を他者も研究できるよう、Anthropic は ETH Zürich、Tel Aviv University、University of Haifa の研究者と CryptanalysisBench を開発し、7 月 20 日に arXiv へ公開しました。

項目内容
規模191 タスク。ブロック暗号やハッシュ関数など6種類の基礎暗号を対象とし、主に4回の NIST 標準化コンペから収録
難易度第1層:実用的な既知攻撃がある方式。第2層:既知攻撃がない方式で、完全強度と縮小版を評価。第3層:現在最先端研究の攻撃対象で、実際に使われている方式
評価モデルClaude Opus 4.8、Sonnet 5、Mythos 5、GPT 5.5、オープンウェイトの GLM 5.2。ここでの Mythos 5 と、報告書の Claude Mythos Preview が同じ版かは、いずれの文書にも記載なし
結果第1層(実用的な既知攻撃あり)は 65%–86% を攻略。第2層(既知攻撃なし)は完全強度で 6~12 件、縮小版では 24~61 件を攻略。範囲の両端は最低性能と最高性能のモデル
追加成果SpoC 暗号方式の設計上の脆弱性を利用した鍵復元攻撃と、KINDI の公開済み安全性証明にある誤り。著者の知る限り、どちらも未発見だったもの

明確にすべき2つの境界

2つの結果はいずれも想定内

NIST のプロセスは、候補方式の問題を導入前に発見するためにあります。ラウンド数を減らした AES への攻撃も、20年近く続く研究分野です。突然現れたブラックスワンではありません。

ただし能力がここで止まるとは限らない

1年前、言語モデルは最も基礎的な暗号解析さえできませんでした。今では、専門家が2年間審査した方式から脆弱性を発見できます。世界には AES や NIST 候補ほど徹底的に調べられていない暗号アルゴリズムが多数あり、未発見の弱点が残っている可能性があります。Anthropic はすでに別の方式の監査を始めたとしています。

情報開示の手順

業界慣行に従い、まず方式の著者へ非公開で通知し、対応期間を設けた後に公開しました。学術研究者にも結果の有効性を確認しています。HAWK の結果は 6 月に HAWK の著者へ通知され、一般公開と同時に NIST の公開メーリングリストにも共有されました。2本の論文は米国政府と産業界のパートナーへ事前に送付され、討論会も開かれました。今後数週間以内に、言語モデルが安全保障や暗号研究で担う役割を議論する学術ワークショップを開催する予定です。

言語モデルが研究水準の数学を行ったのは初めてではありません。Google は Gemini で複数の Erdős 問題を解き、OpenAI は GPT で単位距離予想を解決しました。Anthropic も今月初め、Claude Fable 5 がヤコビ予想を解決したと発表しています。暗号研究に使われたのも同種の能力ですが、今回は現実のシステムにより近い対象でした。

最後に未回答の問いが残っています。いつかモデルが実際に稼働中の暗号システムで脆弱性を見つけたら、研究者はどう対応すべきでしょうか。学術界、政府、産業界が共同で答える必要があります。

一言でまとめると

AI はすでに、一流の暗号研究者に匹敵する研究・推論能力を備えています。今日の資金やプライバシーを脅かすものではありませんが、将来のサイバーセキュリティとアルゴリズム防御の構築方法を変えるでしょう。

数値の不一致について:報告書本文は HAWK-256 の攻撃コストを「従来は 2 の 64 乗と考えられていたが、Mythos は 2 の 38 乗で足りると証明した」と記しています。一方、論文 Table 1 は 2 の 62 乗から 2 の 38 乗への低下です。また同表は1回の探索コスト、報告書は鍵復元全体を指しており、基準も完全には一致しません。本文では論文表の値を採用しました。さらに報告書の脚注は、AES 攻撃の実施に「数億ドルかかる」としますが、本文の「完全に非実用的」と、論文の「2 の 105 乗件の平文、2 の 89 乗の時間とメモリが必要」という記述とは整合しません。本文では論文の基準だけを採用しています。
出典
Discovering cryptographic weaknesses with ClaudeAnthropic Frontier Red Team·研究ブログ·2026-07-28
本サイト注記
HAWK 論文の著者は Zygimantas Straznickas、Stephen A. Weis。AES 論文の著者は Milad Nasr、Nicholas Carlini。いずれも Anthropic 所属です。本文の数値と技術詳細は2本の論文原文(HAWK 論文 29 ページ、AES 論文 45 ページ)と照合し、報告書との不一致は末尾に記載しました。本文中の図表はすべて本サイトが作成した模式図です。報告書原文には表紙以外の図がなく、模式図は2本の論文に基づきます。